日々、何気なく過ごしていると、「いつの間にか白髪の方が長く伸びている」と、感じた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、白髪の研究結果で黒髪よりも伸びるスピードが、平均的に早いことが判明しているのです。
本記事では、黒髪よりも白髪が伸びるのが早い理由について、科学的根拠をもとに解説していきます。
白髪の成長速度で悩まれている方は、ぜひ参考にしてみてください。
髪の毛は成長期間に伸びる
髪の毛は以下3つの毛周期(ヘアサイクル)を経て、伸び始めてから抜け落ちるまでに至ります。
■成長期
髪の毛の根本に存在する「毛乳頭」が「毛母細胞」に栄養を送り、細胞分裂することで髪の毛が伸びる期間。(男性:約6年 , 女性:約8年)
■退行期
毛乳頭の働きが衰え、髪の毛が伸びるスピードが低下する期間。(2~3週間)
■休止期
毛乳頭の働きが完全に停止し、髪の毛が成長しなくなる期間。(2~3ヵ月)
休止期が2~3ヵ月続いたあと、毛乳頭が再び活動を始め、新しい髪の毛が伸びることによって古い髪の毛が押し出され抜け落ちます。
不規則な生活習慣やストレスによってヘアサイクルが乱れると、健康的な髪の毛が育たず細くなったり、薄毛になったりする恐れがあるので注意が必要です。
髪の毛をすこやかに伸ばすためには、規則正しい生活習慣を心掛け、成長期間を保つ必要があります。
「白髪は伸びるのが早い」と言われる理由
「白髪は伸びるのが早い」と言われる理由を、2004年の日本研究皮膚科学会や第4回国際毛髪研究会議で資生堂が報告した「白髪の研究結果」に基づいて紹介します。
資生堂が公開している白髪の研究結果をまとめたのがこちらです。
白髪の研究結果
● 白髪の発症率は部位によって差があり、なかでも後頭部は低い。
● 白髪の太さは黒髪よりも太い(平均値)。
● 白髪が伸びるスピードは黒髪よりも速い(平均値)。
● 成長期にある白髪の比率は、黒髪よりも高い(平均値)。
●白髪の断面の形状は、黒髪よりも偏平な傾向にある。
髪の毛が伸びる成長期間にある比率は、黒髪と比べて白髪の方が多いことが分かっているため、平均的に伸びるスピードが速かったり、太く育った髪の毛が多かったりするのです。
黒髪よりも白髪の方が伸びるのが早い理由は、ただの噂話ではなく科学的に証明されています。
白髪の方が伸びるのが早いわけではない
ただし、上記の研究結果には大きな誤解があり、実際には黒髪よりも白髪の方が伸びるのが早いわけではありません。
「平均値」という言葉がポイントで、黒髪の成長スピードには退行期や休止期に突入した髪の毛も含まれているため、結果的に白髪の方が伸びるのが早いと報告されているだけなのです。
20代~50代の大抵の方であれば、白髪よりも黒髪の方が多く生えていることでしょう。
毛乳頭の働きが低下している比率が「黒髪の方が多い」というだけなので、勘違いしないよう注意してください。
白髪が1日で伸びるスピード
白髪が1日で伸びるスピードは黒髪と変わらず、「約0.04cm」ずつです。
1ヶ月に換算すると「約1.2cm」。1年では「約14.4cm」という計算になりますが、ヘアサイクルの状態や頭皮の血流によって異なります。
ヘアサイクルが乱れている方は、約1.2cmよりも短くなることが多く、最悪の場合は成長し切る前に抜け落ちます。
また、頭皮の血流が悪い方も同様に、髪の毛に必要な栄養素が行き渡らず、伸びるスピードは遅くなるのです。
頭皮の血流をよくするためには、朝・昼・晩の1日3回の定期的な「頭皮マッサージ」がおすすめです。
髪の毛が伸びるのが早い人と遅い人の違い
髪の毛が伸びるのが早い人と遅い人の違いは、主に以下3つの理由が挙げられます。
髪の成長速度の違い
●頭皮の血行
●食のバランス
●頭皮の血行不良
髪の毛の成長速度は生活習慣が大きく関係しているので、それぞれ詳しく説明します。
食のバランス
髪の毛を伸ばすためには食生活を意識し、タンパク質や亜鉛、ビタミン、コラーゲンなどをバランスよく摂取しなければいけません。
自身の好きなものばかり食べている人と食のバランスを考えて食事している人とでは、髪の毛が伸びるスピードに違いが生じるのです。
髪の毛のほとんどは「タンパク質」が占めていることから、偏った食生活で不足することによって成長速度は遅くなります。
しかし、タンパク質のみを摂取すればよいわけではなく、タンパク質を髪の毛へと変える働きがある「亜鉛」も必要です。
また、栄養素の吸収率をよくする「ビタミン」や毛乳頭の働きを活性化させる「コラーゲン」も、髪の毛の成長をサポートするうえで欠かせません。
髪の毛が伸びるためにはさまざまな栄養素が必要であり、1つでも不足してしまうと成長に悪影響を及ぼすので注意してください。
睡眠時間
適切な睡眠時間を確保できている人は髪の毛が伸びるスピードは早く、不十分な人は遅い傾向にあります。
人間の身体は、睡眠中に摂取した栄養素を髪の成長に促す働きがある「成長ホルモン」を分泌します。
上記のことから、睡眠不足により成長ホルモンの分泌が低下することで、伸びるスピードが遅くなるのです。
成長ホルモンは「22時~2時の間」でよく分泌されるため、早めに睡眠を取る必要があります。
また、睡眠時間だけでなく質のよい睡眠をとることで、より成長ホルモンが分泌されやすくなるため、深い眠りにつくことも大切です。
睡眠の質をよくする方法は以下にまとめたので、すこやかな髪の毛を維持したい方は意識してみましょう。
質のよい睡眠
●こまめな運動
●就寝2~3時間前に入浴を済ませる
●就寝5~6時間前は、カフェインやアルコールを控える
●就寝1時間前は、スマホ画面を見ない
●朝は日光を浴びる
頭皮の血行不良
頭皮の血流の良し悪しも、髪の毛が伸びる早さに違いを生む要因の1つです。
髪の毛が伸びるために必要な栄養素は、血液を介して送り届けられているため、血行不良を起こしている方は遅くなります。
頭皮の血流が悪くなる原因は、主に以下の6つが挙げられます。
血行不良の原因
●運動不足
●食生活
●睡眠不足
●ストレス
●エアコンの冷風
●毛穴詰まり
●パソコンやスマホの見すぎ
エアコンの冷風で頭皮の血管が収縮し細くなったり、シャンプーや汚れが毛穴に残ったりすることでも頭皮の血流は悪化します。
ハリやコシのある髪の毛を保つためにも、上記の原因に注意しましょう。
白髪が伸びるとかゆくなる
根本から伸びた白髪を発見し始めた際、「頭皮がかゆい」といった方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
上記は、白髪の研究結果で紹介した「黒髪よりも白髪の方が太い比率が多い」という点が関係しています。
毛穴の大きさは、白髪や黒髪が生えようとも変わりはないため、太く生えた白髪が頭皮を刺激しかゆみが生じてしまうのです。
また、かゆみを感じて爪を立てて頭皮に触れてしまうと、乾燥しやすくなったり、炎症を起こしたりするので避けましょう。
下記の記事では、白髪によってかゆみを感じた際の対処法についてまとめているので、気になる方は読んでみてください。
かゆくても抜くのは厳禁
白髪が増えて頭皮がかゆくなったとしても、抜くのは厳禁です。
白髪を抜くことでヘアサイクルが乱れ、すこやかな髪の毛が生えず、最悪の場合は薄毛になる恐れもあります。
また、毛根にダメージを与え毛穴のなかで炎症を引き起こすと、かゆみは再発してしまいます。
白髪を抜く行為にはさまざまなデメリットがあるので、かゆみが出た場合は氷を巻いたタオルで冷やしたり、市販の薬を投与したりしましょう。
下記の記事では、白髪を実際に抜き続けた人のエピソードを紹介しているので、気になる方は読んでみてください。
一度伸びた白髪は黒髪に戻すことも可能
白髪全体のうちの約2割は、食生活や睡眠時間などに気をつけることで黒髪に戻せます。
メラニンを作り出す「メラノサイト」を活発化させたり、メラニンを生成する際に必要となる「チロシン」を補給したりすることによって白髪ケアが可能なのです。
ただし、約8割の白髪はメラノサイトが完全に機能停止しているため、黒髪に戻ることはありません。
そのため、白髪を黒髪に戻すためには、メラノサイトが休止状態にあることが前提条件と言えます。
下記の記事で白髪を黒髪に戻す方法や注意点について紹介しているので、気になる方は伴わせて読んでみてください。
ストレス社会は白髪が増えるスピードを早めている!?
マウスを実験体とした研究結果では、ストレスを受けた際に「ノルアドレナリン」という物質が分泌され、メラノサイトの働きに悪影響を及ぼすことが判明しました。
そのため、ストレス社会に生きる私たちは、白髪が増えるスピードを自動的に早めていると言えるのです。
生きていくためには仕事をしなければならず、常にストレスを受ける環境に晒されています。
白髪を抑えるためには趣味に没頭したり、達成感を味わったりなどを通して、ストレスを発散しなければいけません。
また、ネットが普及した現代では、パソコン画面を長時間見つめる仕事も増え、頭皮の血流を悪くする「眼精疲労」も白髪が増える原因の1つです。
デスクワークの方はこまめに休憩をとり、頭皮マッサージなどで血行をサポートするよう心掛けてください。
目の疲れを感じている方は、改善する方法を下記の記事で紹介しているので読んでみてください。
白髪が早く伸びる理由のまとめ
髪の毛には、「成長期」「退行期」「休止期」の3つの毛周期があり、成長期の間に伸びていきます。
資生堂が行った白髪の研究結果では、白髪の方が成長期にある比率が平均的に多いことが判明したため、黒髪よりも伸びるスピードが早いと言われています。
しかし、誤解してはいけないのが、あくまで「平均値」ということです。
成長し終えた髪の毛が白髪よりも黒髪の方が多くカウントされ、結果として上記が判明したため、実際に伸びる早さは変わりません
深く悩んで白髪の原因であるストレスを感じないよう注意しましょう。